平成10年度第9回地域産業情報化研究会レポート(第39回)
テーマ:インターネット活用事例研究〜金融編〜
「ICカードインターネットバンキングの動向並びに将来展望について」
講師:
株式会社大和銀行 営業企画部部長代理 山内保徳氏
主査 安彦憲治氏

決済について(ハンドリングリスク、為替のリスク)
通貨による決済は、取引者同士の直接渡し(対面決済)から、振込や小切手など金融機関による為替による決済(非対面決済) に変化した歴史がある。為替の普及により、通貨を実際に持ち運ぶ
ハンドリングコスト、リスクが不要となった反面、為替リスクが 生じていた。今後、電子マネーが通貨として認証され普及すると、 通貨データの授受という形で金融機関を介することなく、
非対面ながら通貨の直接渡しが可能となる。当然電子マネーには ハンドリングコストはなく、現金同様であるため取引時の不渡り などといった為替リスクもない。
大和銀行の電子マネー実験 大和銀行では現在3つの電子マネー実験に参加している。新宿で行われてい るVISAキャッシュ実験は、実店舗1000店、参加人数10万人の規模で、ICカード
による実験である。
http://www.visa.co.jp/digital/cash.html
またインターネットキャッシュの実験はVISAキャッシュとは違う仕組みでイン ターネット上でのみ通用する通貨として1999年4月から1万人規模の実験を行う
予定である。
http://www.icash.gr.jp/html/ie4/top_ie4.htm
スーパーキャッシュ実験は実店舗とインターネット上の両方で使用できる電子 マネーの実験である。
http://www.s-cash.gr.jp/
インターネットキャッシュでは、ICカード内に通貨が蓄積される。 利用者はパソコン上にカードリーダ(外付、PCカード型の2通り)で、
インターネットを介して、所有する口座から通貨を引き出し、 ICカード内に蓄積する。逆にICカード内にある通貨を インターネットを介して口座に預け入れすることも可能である。
インターネットキャッシュでは、インターネット上の店舗での 購買に際しては、店舗には通貨データのみが移動し、 顧客の個人データなどが渡ることはない(匿名性の保持)。
また、個人間でも通貨データの授受により通貨の受け渡しが 可能である。 通常、インターネット上の決済では、クレジットカード、 現金振込、銀行口座からの引落し(購買連動)などが
行われていたが、クレジットカードや購買連動では個人情報の流出、 現金振込では決済タイミングが違うため、商品受取または 決済リスクがあるなどの問題があった。インターネット上の決済に
電子マネーが導入されることにより、実店舗と同じように、 購買時の即時決済、匿名性の保持といったことが実現可能となる。
デビッドカード(J-Debit)について
デビッドカードは金融機関のキャッシュカードを用いて、 実店舗にカードリーダを置き、購買時の決済の際にカードと 顧客による暗証番号の入力により、金融機関から購買金額の
引き落とす形で決済を行うものである。顧客にとってはクレジット カード同様の利便性を持ちながら、即時決済が可能となる。 ただし、金額的には口座残高分の範囲でしか使用できない。
現金決済のように現金を保有、管理するリスクがなく、即時決済 なので振込決済のように振込時まで販売者がリスクを負う必要がない。 現在、1999年9月までは一部の金融機関と商店で実験を行い、10月
からは900以上の金融機関と100社以上の加盟店舗で利用が可能となる。
インターネットバンキングサービスについて
既に法人向けにFAXによる資金移動処理サービスが提供されて いるが、一般振込で70%、給与振込では約80%の取り扱い比率に なるほど普及している。一方、個人顧客については、インターネット
上で口座の残高照会、資金移動などが可能となるインターネット バンキングサービスを1999年2月から開始する。同時にNTTドコモが 提供するi-modeサービスを利用した携帯電話バンキングサービスも
実施する。インターネットバンキングサービスは通常店舗、ATM、 テレフォンバンキングと並ぶ、新しい顧客チャネルとして 位置づけている。顧客はインターネットに接続し、予めパソコンに
インストールしてある専用ソフトを用いて上記の操作を行う。 顧客のメリットとしては、実店舗に出向いて手続きを行う手間が 不要となる点、長時間のサービスが提供される点などが挙げられる。
(残高照会7時〜23時、資金移動7時〜翌日3時)当面は資金移動処理は予約扱いのみであるが、問題点の洗い出し、 確認などを行った後は即時対応も予定している。
また取扱い時間も24時間対応を予定している。 セキュリティについては電子決済の世界標準候補として整備が 進められているSETの日本における銀行バージョンといえるSECEに
準拠しており、盗聴、改竄、なりすましの3つの問題点に対して、 暗号化、デジタル署名、認証書の発行という対策を施している。インターネットでの購買連動の決済についても1年間実験として
取り組んできたが、実績が少なく(購買件数が少ない)、当面は 銀行の現行サービスに対応したサービスに特化することとした。
4.意見交換
Q/実験ではソフトとカードリーダ等のハード機器を提供されるということだが、将来的にはどのように機器提供などを考えて
おられるのか?
A/実験は郵政省の予算として行っている取組みなので、機器の無償貸与を行っているが、将来的にICカードの標準化が
されるとカードリーダなどは家電機器として普及されることを 予測している。その際には銀行としては、決済などのサービスに 徹することになる。
Q/インターネットバンキングでは周辺機器は必要なのか?
A/基本的にはブラウザがあれば、実施できる。ただしパソコンやブラウザソフトなどのインターネットへの接続環境は
ユーザーが準備していただくことになる。
Q/インターネットキャッシュでは、個人間の金銭の授受が可能ということだが、その方法は?
A/詳細はセキュリティの関係で述べられないが、基本的には 電子メールにキャッシュを暗号化データとして添付することとなる。もともとICカード内のキャッシュには上限を設定しているので(現在は3万円)その範疇の授受しかできない。
Q/デビッドカードを取り扱う際の銀行としてのメリットは?
A/決済手段の多様化という顧客サービスの一環と位置づけている。収入という側面では基本的に手数料を頂戴することになる。
実際に決済した店舗と契約している銀行と、決済に使用されたキャッシュカードの発行銀行で、手数料を分けることとなる。(現在は2%以下の手数料を分けている)
Q/デビッドカードのセキュリティ面での方策は?
A/支払時に暗証番号を10キーで入力していただくことになるが、キーには囲いを施してある。また、端末機器には記録が残らない必要がある(口座番号と暗証番号の機密保持のため)ので対策をしてある。一番課題と考えているのは、顧客がカードを紛失した場合で、クレジットカードが届け出前30日、届け出後90日の不正
使用に対しては、保険によって顧客は保護されるシステムとなって いるが、デビッドカードの場合は対策がされていない点である。
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