平成10年度第10回地域産業情報化研究会レポート(第40回)

テーマ: 「ビジネスとインターネット」

講師:日本経済新聞社大阪本社編集局経済第一部編集委員 中嶋 彰氏

<講演内容>
■インターネットの速度 1998年11月25日数年前には非常な高値で上場を果たしたブラウザソフトで有名 な Netscape社がAOLに買収されるというニュースが世界を駆け巡った。 これはインターネットの世界が非常に早い速度で流れているのを象徴してい る。 日経4紙の記事で「インターネット」という語句を用いた記事を調べると、 1994年頃から増え始め1995年から96年にかけてに急激に増加している。 つまり5年前にはほとんど「インターネット」は知られていなかった。 Windows95によってインターネット接続が容易になり、普及しはじめた。
■インターネットの普及 8人に1人がコンピュータの経験あり、内4割がネットワーク経験あり→約10人に1人が情報ネットワーク経験あり。(総理府の発表数値) しかし、これは公私に区別ない数値、実際には業務上で使用している例も多 い。

プライベートでメールアドレスを持っている人はもっと少ない。

インターネットはまだテレビ・ラジオといった大衆メディアにはなっていな い。

いろいろな仕掛けは可能(WWW、メール、動画etc)だが、品質は悪い


(例:J-OLE ゴールシーンのダイジェストの動画配信をしているがサッカーボールが見えない場合が多い) → 通信速度の問題が大きい

■ビジネスに役に立ったインターネット利用事例 トヨタ自動車の場合、通常新車開発には「研究開発」後に「製品開発」を行う が、 ハイブリッドカー「プリウス」の開発では、並行で行われた。 これには国内の様々な研究所(それぞれは遠隔地)の開発要員を メーリングリストによって情報共有を行った結果、研究開発した技術を 即製品開発にフィードバックさせていったことで実現した。

現場の研究者がメーリングリストによって情報共有された結果、 組織別の縦社会にある弊害(情報の絞込み、伝達の遅延など)を克服し、 短期間の開発が可能となった。

電子メールは情報伝達面では組織の中抜きを可能とし、中間管理職を不要とす る ことができるが、日本の主要企業でまだ平板型の組織改革を実施したところは ない。

組織の幹部やトップにまだ浸透していない(情報武装できていない)のが 原因ではないか?

■米国の活用事例 米国では株主総会での議案の議決にインターネットによる投票を実施している 主要企業が1000社以上ある。(株式公開は12,000社)(ボーイング、コンパック、コダックなど) これにより1株主あたり5ドル程度の経費削減が可能である。 Amazon.com(アマゾン:インターネット上の仮想書店) は1998年の年間売上げが10億ドルに達する勢い。 設立は1995年、無在庫による低価格販売により急成長した 過去の顧客購買実績データによる顧客別の販売促進メールなどの工夫が見られ る 顧客のデータ構築、書籍のデータベースと検索機能の提供、顧客からの受注情 報と 出版社への発注などコンピュータの特性を上手く利用したビジネスを展開した (起業時にプログラマー発掘に力を入れ使いやすいシステムを構築した) AOLはCBSと株価の時価総額で同規模となった。 インターネットが従来メディアに匹敵するメディアになってきた証である。 米国ではAOLだけではなくYahooやAmazon.comなども株価が上昇している。

■日米比較によるインターネット普及度 ・インターネット広告の市場規模は1998年に米国では20億ドル(約2400億円)に達したが、日本で100億円市場と予測されている。

  • 電子商取引では1997年米国は85億ドル(約1兆200億円)に対し、日本は1000億円と推測されている。
  • インターネット上の実績は約10倍の開きがある。(人口、GNPなどは約2倍で ある)

    日米のインターネットの利用度合いはかなりの開きがある。

■Linuxの台頭 ・インターネット上でその利点を生かしたものとして「Linux」がある。「Linux」はパソコンで動くOSの一種で、「Windows」に対抗するOSとしての可能性をもっている。

  • 「Linux」は全世界の人達がインターネット上で共同して製作改良してきたプログラムで「フリーウェア」として無償で使用することができる。
  • 「Windows」へのアンチテーゼ的な意味もあり、日本でも関心を示す企業が 多い。(JustsystemはLinux版「一太郎」に取組む)


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