平成11年度第6回地域産業情報化研究会会議録(第46回)

テーマ:「電子申請・電子政府の最新動向」

講 師: 財団法人ニューメディア開発協会
        開発本部 研究員 内山 旭氏
             研究員 富川直毅氏

<講演内容>
政府における申請の電子化
   政府各省庁においては約8,800ある所管手続きのうち、 既に約2,700の手続きについては電子化が認められているが、 その多くはフロッピーなどの記録媒体による提出となっている。 インターネット等によるオンライン申請はこれから取り組む段階である。

「インターネットによる行政手続きの実現」における問題点
 

 電子申請における問題点については、 現時点で以下のようにまとめることができる

  • 制度面の問題  
    法律、条例などによる『「書面」で云々』といった表記が、電子申請における障害となっている。このために法律や条例の改正が必要となるが、現在は改正の方向で準備が進んでいる。

  • 実務面での問題  
    電子申請が適する分野と適さない分野があると考えられる。年間に数件しかないような申請についてまで、電子化する必要があるのか?申請時に担当官と協議を行ないながら、申請書類の作成を行なうようなものまで電子化するのは困難であり、かつ効率面 でも問題があるものと予想される。

  • 技術面 
    「3点セット」が挙げられている。

  • 申請者の認証の問題
    インターネットを介して申請されている事項が、申請者本人であるのかどうかを証明する必要がある。現在、電子申請している特許庁の場合はインター ネット経由ではなく、ISDNを使用した申請であるため、電話番号確認による申請者の特定が容易である。

  • 電子申請文書の原本性確保   
    申請された内容の改竄、変更などが行われないよう申請データの原本性を確保しておく必要がある 。

  • 手数料の納付方法   
    申請時に納付する手数料を、電子決済としてどのような手段を用いるのか  
    さらに、本年3月に公表された総務庁共通課題研究会の「インターネットによる行政手続きの実現」では次の点が挙げられている 。

  • 申請、届出などの到達時期
    郵送時における消印や窓口取扱い時間といった、客観的な時間、日付の証明をインターネット上で申請においては、どのタイミングが申請時刻であると定義するかが問題である。

電子政府実現に向けての政府の取組み
 

 以下の指針に基づいて、政府のミレニアムプロジェクトとして 電子申請・電子政府の取組みが進んでいる。

『民間と政府における各種の行政手続きをインターネットを利用してペーパーレスで行なうことでできる基盤を2003年までに構築する。』

上記を推進するための法律及び制度については、以下のようなものを 代表例として順次改定が行なわれてきており、現在も整備が進められている。

  • 行政手続法の改定 ・電子データ保存を制度化
  • 情報公開法 ・通信傍受法と不正アクセス防止法
  • 商業登記の電子化
  • 電子署名と認証制度の導入
  • 個人情報とプライバシー保護法

また、プロジェクトの具体的施策は以下のようなものである。

  • 認証基盤の整備
  • 申請の関する共通基盤の技術開発(3000種類の申請について共通 して使用できるもの)
  • 申請・届出手続きの電子化とその取組み
  • 政府の調達業務手続きの電子化(建設CALSを使用する公共事業は除く)
  • 地方公共団体における実証実験

インターネットを使った電子申請システム
 

  各種の申請に関してインターネットでは前述した技術的課題 「3点セット」を解決する必要がある。 平成10年度の補正予算によって、電子申請の共通基盤として使用可能な インターネット汎用電子申請システムの開発が進められている。

  • 認証については、認証局(民間及び政府関連)により、申請者の電子認証を必要とする。

  • 電子申請文書の原本性確保については、インターネット上での改竄などを防ぐため、申請者と官側それぞれのファイアウォールを含むインターネット上は電子申請通 信プロトコルを開発することによって データの暗号化とともに途中経路の改竄などを防いでいる。

  • 手数料納付については、様々な決済方法が考えられるが、「インターネットによる金融機関の口座振込」が有力な手法として取り組まれる予定である。

  • 申請時期の問題については、インターネット上の通信プロトコルによって取り扱いを変える必要がある。

  • 電子メールによる申請を行なう場合は申請時期として、送り先のメールサーバ内のメールボックスにデータが届いた時点。

  • ホームページのhttpプロトコルの場合はサーバアクセスログの時刻 。
    と考えることができよう。
また、プロトコルの性質上、電子メールは気軽に利用できる反面、着信確認が困難であるなどの問題もある。「インターネット汎用電子申請システム」については通 信プロトコルにおいて申請文書が届いた時刻を確認する機能を有している。
電子申請の導入
 

 導入には諸々の課題をクリアしていく必要がある。 まずは、導入に関して、申請側と官側にとって、有意義であることを確認し、 導入に適した業務から電子申請を導入していくことが重要である。 また、地方公共団体などでは一気に電子申請まで取り組むのではなく、 まず、インターネット上での情報公開、申請書類の配付といったところから 始めることも実運用上からは必要と考えられる。


インターネット汎用電子申請システムの利用方法と機能
 

「インターネット汎用電子申請システム」は申請者側のシステムと 審査側(官側)のシステムによって構成され、申請者側のシステムは無料配布 される予定である。
まず申請者側では、申請者側のシステムソフトウェアをダウンロードし、 インストールを行う。
次に申請者としての登録を行なう。(申請者の認証と電子署名の取得) 登録については郵送または手渡しにより、本人確認を行なう。
各申請に関しては、審査側のシステムから申請に関するテンプレートを取得 し、 必要事項の記入と添付書類、署名、手数料の添付を行ない専用プロトコルによ り 申請(送信)を行なう。
その後、申請の審査経過などによって修正部分への「電子付箋」の貼り付け、 申請書の修正などを実施することとなる。 審査側システムでは申請書類(XML形式により構造化されている)について、 申請番号管理、署名チェックなどを行ない、実審査では修正点などについて 「電子付箋」と「メッセージ」の貼り付け、原本性の保証などを行なえるものとなっている。

その他、申請書類の部分的な暗号化(入札情報などに利用)、 送達確認と再送制御、申請時刻管理などの機能も有している。


Q&A(意見交換)

  • 申請に関しての添付書類はいろいろなものが考えられるが、システムの対応 はどのようになっているのか?  
     →  添付書類は様々なフォーマットデータがあるので、それぞれの審査担当レベルで処理することを想定し、システムでは様々なフォーマットデータに関する機能を提供してはいない。

  • 現状では1次窓口が都道府県、2次窓口が政府と多段階の申請が必要なもの があるが電子申請ではそれぞれを個別に申請することになるのか?  
      → このシステムではあくまでも、1次申請について適用するものと考えている。市町村レベルの申請については、地理的にも近いということもあり、必ずしも電子申請を導入する必要性も政府ほど高くないと予想される。

  • 実際に使用される予定は?
      → 通産省の先行プロジェクトとして本年夏頃に導入・稼動を予定している。

  • 電子申請によって従来の申請はどのようになるのか?  
      → 従来の書類のよる申請についても廃止は難しいので、当分は併行することになる。

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