平成13年度大阪大学VBL・先端科学技術共同研究センター施設見学会議録

<施設見学>

(1)第一部:大阪大学ベンチャービジネスラボラトリー(VBL)
◆施設紹介◆
講師: 大阪大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 助教授 兼松 泰男 氏
 大阪大学VBLは当初、光関係の研究施設として建設されましたが、最近のベンチャー振興の流れにも注目し、これに関する研究機関としての方向転換を行っている最中です。主に院生やポストドクターに利用されています。

◆VBL内の研究施設◆
一  階 :核磁気共鳴装置室(NMR室)
この部屋には750MHzのNMR(核磁気共鳴装置)が設置されており、化学物質の構造決定などに利用されます。ここではタンパク質以外の高分子も扱っています。また、他の測定方法と組み合わせることで、新たな測定システムの開発も行っています。
二  階 :薄膜創製・評価室
この部屋には分子線結晶性薄膜作成装置(M-PT11)が設置されており、薄膜を生成する作業が行われています。生成する薄膜は不純物がほとんど含まれないもの、天然には存在しないものなどです。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて表面の解析をする、新しいデバイスを開発するなどの取り組みも行っています。
三  階 :光機能材料開発プロジェクト室(1)(2)(3)
このフロアの研究施設では光機能材料に関する研究開発を行っています。特に現在では、次世代のエレクトロニクスのデバイスとして「有機材料」を用いたものが注目されており、このフロアでも有機材料を用いたデバイスの開発を主眼においた研究が行われています。
四  階 :フォトニクス情報システム開発プロジェクト室
この研究施設では、レーザーの特性をいかすことで通信・画像処理・細胞操作などを行う研究を行っています。レーザー技術の利用は物質中の電子の動きの測定を可能にするだけでなく、さまざまな技術への転用が期待されています。
五  階 :院生室・研究員室・交流スペース
このフロアは基本的に大阪大学VBLスタッフが仕事をするオフィスとなっています。また交流スペースも設置されており、ディスカッションするために利用しているほか、大阪大学VBLと社会のつながりを深めるためのシンポジウムや交流会を開催する場となっています。


(2)第二部:大阪大学先端科学技術共同研究センター
◆施設紹介◆
講師:大阪大学先端科学技術共同研究センター 助教授 有澤尚志 氏
 大阪大学先端科学技術共同研究センターは平成7年に設置され、産学連携の中核・窓口として活動しています。平成12年には組織改革、共同研究センターとしての機能の拡充が行われ、それまで行われてきた「学内の共同研究のためのオープンラボ」として役割だけでなく、より一層の産学連携促進を図るための先駆的な役割を担うことや、先進的な共同研究を推進していけるような体制になりました。具体的な活動としては共同研究に向けた技術相談や特許相談、実際の共同研究の実施に加え、民間の研究者の方々を対象とした「高度技術研修」も行っています。また、大阪TLOを通すなどのかたちで企業側が必要としている特許・研究の検索、教官の紹介も積極的に行っています。

◆センター内の研究施設◆
一  階 :セミナー室、他
一階には事務室の他にセミナー室があり、特許相談や高度技術研修などが開催されています。
二  階 :多目的プロジェクトスペース
このフロアの研究施設では物質を作成したり強化したりする研究が行われています。最近では、新たな電子機器の開発に有機材料を用いる試みなどを行い、さまざまな分野への利用を目指した研究が行われています。
三  階 :生物スペース(微生物研究室)
このフロアではバイオ・生命系の研究を行っています。ここではヒトの遺伝子機能解明のための優れたモデルであるマウスにおいて遺伝子改変技術を適用し、さまざまな疾患の研究とその治療薬開発への応用に向けた研究を行っています。
四  階 :材料プロジェクトスペース(「高性能ポリシリコン薄膜」開発チーム実験室、他)
このフロアでは薄膜や微細構造の解析、新規材料の開発に関する研究を行っていますが、主たるものとしては薄膜や結晶を生成する実験を行っています。
「高性能ポリシリコン薄膜」開発チーム実験室では科学技術振興事業団が、大阪大学先端科学技術共同研究センターの施設を利用して、大阪大学の教官とともにディスプレイのための薄膜材料を生成し、大きなガラス基盤上に製膜する技術の研究開発を行っています。


<大阪TLOの紹介>
講師:大阪TLO大阪大学事業部門総括マネージャー 有馬秀平氏
(講演内容)
 大阪TLOは8月30日に正式に活動を始め、その中の大阪大学事業部門は10月より本格的な活動に入りました。大阪大学事業部門には8名のコーディネーターが配属されており、それぞれの専門に分かれて民間企業からの相談を受け、そのサポートを行います。阪大事業部門であれば、8名のコーディネーターが、企業から寄せられた相談に回答できる阪大の教官を探し出しその企業に紹介します。すでに何件かの相談をTLOの方で引き受けましたが、先日ある企業の方に阪大の先生方を紹介し、話をしてもらったところ、相談を寄せられた企業の方が思いもつかないような点を先生方が指摘されました。こういった技術的なアドバイスができる先生を大学から探し出し、その知識や技術を民間の企業に役立ててもらうという活動を行っています。
 TLOというのは元々、Technology Licensing Organizationと言い、本来は大学が持っている技術を企業に移転するのが目的です。しかしそれに限らず、大阪の産業インフラを立ち上げから共同研究のアレンジ、ベンチャービジネスの起業や経営相談に至るまで、多方面に渡って活動することを目指しています。
 また、大学というのはまだまだ敷居が高く、企業と大学の交流はあまりありません。しかし企業と大学との間に双方向の活動・交流を築き、産学連携を強めていくことは大変重要な課題です。大学あるいは大学の教官が持つ特許を企業が利用できる、逆に民間からの技術相談で「これは実現が可能か」といった相談があれば、大学から専門の先生を見つけてくる、そういった双方向の活動を支援するのが我々の役目です。特に最近では大学の先生方の意識も変わってきており、特許取得やビジネスに関する興味も増しているようです。こうした流れを生かし、さまざまな技術や特許が、大学にとっても企業にとっても有意義なものにするべく今後の活動もつつけて行きたいと考えております。また皆様にもTLOを知っていただいて、是非TLOを活用していただきたいと考えております。
 現在、大学の先生方が出された研究成果はその大部分を大企業が譲り受け利益を上げています。しかし大学の先生方にはほとんどその対価が支払われていなかったというのも事実です。そこで現状のシステムを廃して、先生方に対価が支払われることでインセンティブを与えていくことが重要だと考えています。しかし国家公務員の地位をもつ大学の先生方がいかにその対価受け取るか、この問題が大きく存在するのですが、まさにそこでは我々TLOの存在がそれを可能にします。研究成果によって生じた利益は、1/3を先生方に返還し、残りについては1/3を大学に戻し1/3を我々が頂いてTLOの運用資金にするというシステムです。こうして先生方が受け取った対価は、更なる研究に利用されていくわけです。
 大阪TLOは、大阪大学ベンチャービジネスラボラトリーや先端科学技術共同研究センターと強く連携しており、この三者いずれに相談をお寄せいただいても大阪TLOがその相談をキャッチできる状態になっています。大阪TLOの会費は一口五万/年です。これはこれからの事業展開に対する先行投資と考えていただければ幸いです。大阪TLOを活用していただくと技術相談や共同研究などに大きく貢献できるかと思います。


<産学連携サポートプログラム「STAR」の紹介>

◆豊中商工会議所の「STAR」について◆
担当: 豊中商工会議所 事務局長 小早川謙一 氏
 豊中商工会議所においてもTLO、先端センターと同様のスキームの準備をしています。これを「STAR」と言います。この活動は豊中商工会議所が、地元の企業の方々と日常的に深く接していることを活用し、大学と企業との「つなぎ役」を担っていきたいと考え出来たものです。
 相談の流れとしては、大阪大学VBL内にある「阪大ベンチャーファクトリー」と企業の皆さんの間に豊中商工会議所が入り、会議所が阪大ベンチャーファクトリーと一緒に関わって、大阪TLOからのアドバイスなども頂きながら活動をするということです。豊中商工会議所は企業に相談の窓口を用意し、阪大ベンチャーファクトリーの方で技術情報の検索などを行ってもらうという形になります。
 このシステムを利用し豊中商工会議所と連携をすることは、即大阪大学と連携することになる、と理解していただいて結構です。商工会議所としましては、こうしたスキームを充実させることで会員皆様の産学連携を具体的にサポートしていきたいと考えています。
 そして企業の技術開発・事業革新に役立てていただきたいと思います。豊中商工会議所ではこれまでに2件この技術相談の実績を有しており、これからもこういった活動を積極的に展開していきたいと考えていますので、ご協力をよろしくお願いいたします。


[トップページに戻る] [研究会の目的] [現在までの研究テーマ]
[今年度の研究テーマ・内容スケジュール] [レポート(報告書)]