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| 平成13年度第4回地域産業情報化研究会会議録 <講演第1部> |
| テーマ:「移動体インターネット通信の現状と将来」 講師: 大阪大学工学研究科通信工学専攻 教授 小牧省三氏 |
| (公演内容) |
| ■大阪大学における通信工学科の沿線 | |
| 通信工学科という学科は全国の大学を見渡しても、あまり多くは存在しません。国立大学では、東北大学、九州大学、大阪大学にしかなく、その中で大阪大学は古くから名前も変わらずに、通信工学科という学科が残っている唯一の大学と言えるでしょう。 通信工学科と言うのは、今でこそ注目を集める分野になりましたが、以前はあまり、注目されていたとは言えませんでした。しかし、私は大学に入って以来、ずっと無線通信を先行してきましたが、現在では、携帯電話等の移動体通信の発展に対して、かなりの貢献が出来たと考えています。 |
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| ■移動体インターネット通信の現状 | |
○インターネット利用者数 現在、通信速度は低速ではありますが、携帯電話とダイアルアップでのインターネット接続の利用者がもっとも多いです。次に多かったのがCATVですが、近年ADSLの急速な立ち上がりによって、ADSLの利用者の方が多くなってきています。その他には、無線LANやFTTHも増えてきていますが、全体から見るとたいした数ではありません。 ○料金と速度 ![]() 現在、ISDNやPHSを使ったものがかなり低価格でサービスを受けられるようになっています。無線LAN、FTTH、CATVなどを使ったブロードバンドのサービスも6000円程度で受けられるようになって来ています。 ○ADSL ADSLの場合、DSLモデムを介して電話線が通信事業者の所までつながっており、ADSLでの通信に関してはインターネットに接続されるようになっています。ADSLは電話線を使っているため、周りからのノイズを受けやすく、通信する距離が長くなると、通信速度は減衰していくという特徴を持っています。特にサービスによってはISDNからのノイズの干渉を受けるため、通信区間が2Kmを超えると急激に通信速度は減衰してしてしまうものもあります。 ○情報速度と移動速度 ![]() 様々な通信方式の情報伝達速度と移動速度を比べてみたいと思います。現在、固定式から移動式まで様々な通信方式が存在しますが、無線LANの規格であるIEEE802.11aのように最大歩行速度程度で利用可能で、さらに数Mbps程度の通信速度をもつものも技術としては出てきています。 移動速度が高速でも利用可能なものとして、携帯電話の通信方式であるIMT‐2000が存在し、これは現在NTTドコモの次世代携帯電話「FOMA」などに使用されています。これがいわゆる第V世代携帯電話といわれるもので、その先の技術として、図に4Gと書かれている第W世代の技術についても現在、検討が行われています。 ○移動体通信とインターネットサービス ![]() ![]() PCにおいて始まったインターネットですが、携帯電話の加入者数の増加に伴って、携帯電話間のメールから派生したE-Mailのサービスに始まり、Iモードなどのインターネットへのアクセスサービスも開始されるようになりました。さらに、最近では後で紹介しますが、ホットスポットなどの通信速度の速いサービスも展開されるようになってきました。 現在、コンピュータと移動体通信の中間的なサービスが無線LANですが、無線系のPCがそのまま移動体通信に移行する可能性もあります。そうなれば、高速の画像配信や常時接続がモバイル環境で実現することになります。 <Iモード> Iモードは実際にはインターネットに直接つながっておらず、各基地局を介してNTTドコモのサーバーにアクセスし、ドコモのサーバーが信号を変換してインターネットと接続をしています。これを今後携帯電話のネットワークそのものをインターネットに接続しようという提案があり、現在検討が行われています。事実、Auの次世代携帯電話では、HDRという携帯電話のネットワークそのものをインターネットに接続する技術を、導入しようとしています。これはまたあとで説明しようと思います。 <IMT-2000> 現在、NTTドコモの「FOMA」に使われている技術ですが、通信速度としては普段使う歩行中で384bpsを実現しています。今後、家庭用に固定式で使う通信用に2Mbpsのものも考えられています。 <HDR> HDR(High Date rate Radio)はAuなどで導入が検討されている技術で、電波方式そのものも変えて、各基地局から直接インターネットに接続する方式を採用したものです。この技術では2Mbpsのサービスを展開することを年頭において開発が行われています。 <PHS> 現在は、64Kbpsのサービスが展開されており、電話との併用ではなくデータ通信専門のサービスも開始され、今後、どちらかというとデータ通信の方にシフトしていく方向にあります。関西電力のケイ・オプティコムのように常時接続のものも現れています。 <ホットスポットと無線LAN> ホットスポットは無線LANを用いたDSLの補助的なワイアレスアクセスサービスで、電柱などに設置された基地局から大都市圏の繁華街、駅、喫茶店などの特定の地域に対して、数十Mbpsのサービスを提供します。現時点では、東京駅構内、大阪駅付近など特定の地域で試験的に運用が行われており、プロバイダが提供するADSLなどの付加サービスとして検討されています。 無線LANについても、現在IEEE802.11bを中心に家庭用のものから、オフィス全体に適応するものまでいろいろなものが実際にサービスとして展開されています。 |
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| ■移動体インターネット通信の現状 | |
○マイクロセル化の問題点![]() FOMAのように高速の通信サービスを多くの加入者が利用するようになれば、従来のようにひとつの基地局を中心としたセルを大きく取ることが出来きなくなります。そうなれば、セルを小さくし設置する基地局の数を増やすしかないうえ、今後携帯電話がインターネットと融合した場合、その基地局を取り替えなければなりません。つまり、莫大な設備投資をすることになり、全通信事業者がその設備投資を行えるとは思えません。そこで、われわれはRoF(Radio on Fiber)という基地局同士を光ファイバーでつなぎ、その後基地局を取り替えなくてもインターネットに移行できるような技術を提案しています。 我々は以前、梅田センタビルでRoFと同じ考え方の光ファイバーから来た信号を携帯電話に飛ばすというシステムを実際に運用したことがあり、そのときにもこの技術の有用性は確かめられました。 ○FTTA ![]() FTTA (Fiber to the Air)は光ファイバーと無線LANを融合させたシステムです。大きなビルには光ファイバーが来るようになるかも知れませんが、すべての家庭まで光ファイバーがつながるとは設備投資の面から考えにくく、最後は無線で飛ばすというふうになる可能性は高いと思います。 現状では、ひとつの会社で光ファイバーと電波の両方を持っている会社は少なく、関西電力ぐらいではないでしょうか。しかも、関西電力が持っているのはPHSの電波だけです。技術的にはFTTAは非常に優れていると考えられますが、サービスとしてメジャーになるのはまだ先の話かもしれません。 |
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| ■インターネット電話 | |
○VoIP![]() VoIP(Voice over IP)はインターネットを利用した電話システムで、電話をかけると一番近い基地局からインターネットに接続され、通話したい相手から一番近い基地局でもう一度電話回線に接続し通話することを可能にした技術です。現在、フュージョンコミュニケーションズでサービスとして展開されています。今後、Yahooなどを初めとした様々なインターネット事業者が電話を直接インターネットにつなごうとする動きが出ており、今後確実にその動きは加速していくと考えられます。 ○WoIP ![]() WoIP (Wireless over IP) は我々が提唱するVoIPの次世代技術で、PHSなどの移動体通信機器を弁当箱程度の小さな基地局を介して、直接インターネットに接続し、プロバイダの使用料のみで通話を可能にするシステムです。この技術では基地局は持ち運べる程度の簡単なもので、われわれはすでに他大学に基地局を設置し、通話実験を試みました。結果、全く問題なく通話が出来ることを確認しました。 |
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| ■むすび | |
| 現在、日本では通信事業者と総務省が電波の取り合いを行っており、オープンに使える周波数帯というのはなかなかありません。また、日本ではメーカーではなく通信事業者が通信方式の規格化を行っており、各社とも顧客を囲い込もうとする傾向にあります。その結果、規格化が遅れ、海外のエリクソン、モトローラなどと言ったメーカーによって提案され規格化が行われた通信方式によって日本の市場が席巻されるということになるケースも少なくありません。無線LANの規格が良い例です。また、NTTなどの通信事業者はインターネット事業に入っていかず、インターネットと通信の融合は遅れています。そうこうしている内にまた海外からの技術に日本の市場が席巻されるということに成りかねません。日本においても、もう少し通信事業をオープンにしメーカーがユーザーニーズを吸い上げ、早期に規格化を行うといった対応をしないと諸外国に遅れをとってしまいます。 今後、日本の通信事業を引っ張っていくためには、総務省や経済産業省などの力だけでは難しいと思います。むしろ、FTTAやWoIPなどの技術は、豊中市のような地方自治体が率先して導入し、試験運用を行うというスタイルがいいのではないかと考えています。 |
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