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| 平成14年度第2回地域産業情報化研究会会議録 <講演>
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| (公演内容) |
| ■ | ユビキタス誕生の背景について |
| ユビキタスという言葉はMITの教授が最初に使った言葉であると聞いているが、その意味を簡単言うと「どこでも情報が手に入る状況」ということだ。ユビキタスという言葉の登場は「ブロードバンド化の実現」抜きには語ることができない。そこで、ユビキタスの背景としてのブロードバンド化について少し説明したい。 日本では先年、森内閣によってIT基本戦略が策定され、「2005年までに全国3000万世帯(全世帯の85%)にブロードバンドを導入する」という目標が掲げられた。このようなブロードバンド化の推進は、非常に望ましいことだと思う。しかし日本でインターネットを利用している家庭は、2000年で約40%、現在でも約50%で、さらにブロードバンドを利用している家庭の割合、すなわちブロードバンド普及率については現在5%である。こうした現状を見ると本当に実現されるのだろうかと思ってしまう。さて、ブロードバンドの特徴として、そのサービスが最近、非常に低い価格で提供されるようになったことがある。ADSLやISDNといった中帯域バンドでも、ベストエフォート型とはいえ、月額2000円〜3000円で8Mbpsという通信速度が提供されている。何年か前までは1.5Mbpsが5000円〜6000円の価格であったことから考えるとこれは画期的だ。また、CATVでも同様の価格でのサービス提供が始まっている。しかしこれらの導線利用型のものでは、距離による通信速度の減退が激しいという問題があるため、光ファイバーが敷設されれば限定された利用形態になるのではないか、というのが一般的な見解だ。光ファイバーを利用する場合も、現在では100Mbps5000円台のサービスが提供されはじめている。 こうしたブロードバンドによるサービスの低額化は、ブロードバンド回線におけるハードウエアの急速な進化によってもたらされたものである。ネットワーク技術の進化は「18ヶ月で2倍になる」というムーアの法則が有名であるが、最近では「6ヶ月で2倍になる」(ギルダーの法則)とも言われている。このようにネットワークの高速化と低額化が実現したことで、我々にはこのネットワーク技術に触れる機会が増えてきた。そこで、そのネットワークなり機会なりをどう活用すべきかという問題が出てきたことで、ユビキタスという言葉が使われるようになったわけである。 |
| ■ | ユビキタスネットワークと生活の豊かさのイメージについて |
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ユビキタスネットワークによって生活が本当に豊かになるのかどうかについて、インターネット利用者300人に対して涯FJ総合研究所などが行ったアンケート結果がある。 |
| ■ | ユビキタスの必要条件と十分条件 |
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ユビキタスといわれているものは、その性質から機械系(ハード系)と人間系(ソフト系)の二つに大きく分けられるのではないか。ハード系に関しては冒頭でも述べたように、回線が太く安くなったことである。ハードウエアの進化は著しく、また低価格化も急激に進んだ。私の持っているポケットPCは三年前のPCとほぼ同じ性能を持ち、また128kbpsの通信機能も備えている。これはISDNによる通信速度の二倍で、これを今では多くのビジネスマンがモバイルで持ち歩く時代になった。これに対して、ソフト系でも多くのソフトウエアが開発されているが、それでもハードウエアの進化速度に人間系が追いつけていないのが現状である。人間系の遅れとして挙げられるのは、データベースなど個人情報に対する安心・安全・信頼性の確保といったセキュリティの部門、ITの利用機会と活用能力に差が生じてくるデジタルデバイドの問題、自由な情報のやり取りを可能にする規制の緩和、一方で新たな犯罪の温床となりうる危険性を排除するための規制の強化などがある。さらに、「こういったものがあれば、みなが利用するであろう」といったキラーコンテンツがまだ出現していないことなども挙げられる。 |
| ■ | IT業界の身近な動向 |
| インターネットというのは、TCP/IPという標準を採用するネットワークの総称であるが、IPは基本的にリアルタイム性がなく連続性も保証されないパケット交換(データを小包のような形態に分割して転送する方式)のため、データ通信以外の用途には向いていない。しかし今後は、IPの上にあらゆるものが登場するIpOnEverythingが実現されていくであろう。しかしインターネット上で膨大な情報が提供されるようになると、さまざまな問題が発生する。インターネットには簡単に参入できるため、常に大量の情報が提供される。それによって情報の識別性が極めて低くなってしまう。また大量の情報が存在するがゆえに、供給が常に需要を上回っている状況が生じるため、それらインターネット上の情報に料金を支払う人は非常に少なくなるということも重大な問題である。これらはインターネットそのものの性質が問題になっている事例である。 次に挙げられるのが、昨今アメリカを騒がせたナップスターやグヌーテラに代表される、分散型P2Pモデルと呼ばれる技術の問題である。これはネットワークを利用して友人と情報交換する感覚で音楽や映像の情報を流通させてしまうというもので、音楽業界や映像業界を脅かしている。 また現在ではまだLinux系のオープンソースを利用したビジネスモデルがほとんど成り立っていないが、これが今後変わっていくのではないかと考えている。現在のソフトウエアの進化が著しいことは先ほど述べたが、このためにわずか数年前の商品ですら保証してくれないというのが通例だ。したがって、これから先登場するであろう情報家電に付加されるソフトは、一般に開示されたオープンソースを利用するしかないのではないか。 IPは今後生活の隅々にまで入り込んでいくと思われるが、それに伴ってさまざまな問題が出てくるであろう。 |
| ■ | ユビキタス化による効果と今後の発展について | |||||
ユビキタス化に伴って、どの分野が伸びどの分野が後退するのかということを野村総合研究所が調べたデータがある。
この資料を見ていただければわかるように、高付加価値部品や通信系の新サービス、設備機器のリース・レンタルなどが伸びを見せると考えられている。 また、技術に関する話をしておくと、インターネットはパケット通信のためリアルタイム性や連続性がないという話は先ほど述べたが、私は現在のTCP/IPの技術がこのまま続くとは考えていない。今後は有線系・光ファーバー系の技術が急速に進化し、また違ったものがコアネットワークになっていくのではないかと思っている。一方で無線系ではそれほど大きな進化はないのではないか。日本では光ファイバーの敷設率は非常に高いので、これをうまく活用すれば新しいビジネスモデルが登場してくるのではないかと考えている。 |
| ■ | 情報化を通じた地域産業の活性化と情報産業の育成について |
| 情報化を通じた産業の活性化で現在最も注目されることは、ふんだんに存在するネットワークをいかに活用して経済価値に変えていくか、ということである。この分野で積極的に大きな成功を狙っていくと、膨大な資本投資が必要になるという問題がある。そこで現在IT技術を活用して堅調に推移している企業を見てみると、多くがIT技術を自社事業の中に補助的に組み込んでいるようだ。たとえば、営業のオートメーション化、CRM(Customer
Relationship Management)と呼ばれるように顧客管理の強化、ERM(Enterprise Relationship
Management)と呼ばれる統合システムの構築・社員とのつながりの強化といったものだ。しかしながら、これらの機能をたくさんの企業が一斉に導入した時期があったが、その機能を全て使いこなせているところばかりではない。要するにIT技術の活用による成功のカギは、必要に応じて必要なシステムを補助的に導入することであろう。業務のサポート分野を、優れた保存能力と正確で速い計算能力を持つコンピューターに移し変えているところではある程度の成功を収めていると思われる。私はユビキタス社会というのはこういったコンピューターの能力が相互につながって、その能力が十分に発揮される社会のことだと考えている。 また、情報産業の育成に関しては正直まだよくわからないが、インキュベーション施設の充実が必要なのではないか。インキュベーション施設に事務所を構えることは、信用力につながることも期待できるといった効果があるからだ。 |
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