平成10年度第4回地域産業情報化研究会レポート(第34回)

 


議題:インターネット活用事例研究〜流通業編〜
「心斎橋WEB商人 おおいに語る!不況に負けへんで!」
講師:心斎橋みや竹 宮武 和広 氏


★老舗「心斎橋みや竹」と心斎橋本店の閉鎖
1896年(明治29年)に舶来雑貨店として創業後、次第に傘とショールの専門店化した。
昭和52年の最盛時の年商2億2800万であったが、次第に減少し、1996年は年商1億2300万であった。
心斎橋で実店舗を運営する場合のペイラインは月商1500万が必要である
が、1996年平均月商は1025万であった。
傘専門であるがゆえに売上げ増の限界を感じていたことと、商店街自体が衰退し始めているにも関わらず、地代の高騰などによる経費の増大が心斎橋本店の閉鎖理由である。

★kasaya.comの起業
インターネットでの起業は1996年10月11日で、開業資金はパソコン代、米国オレゴン州にあるサーバ使用料とドメイン取得料で合計88万円である。
正社員2名、パート1名で運営しており、初年度のインターネットでの売り上げは18万円であったが、最近では月商200万円以上になっている。
最終目標は月商1000万円で、この段階で心斎橋の店の状態まで回復できたものと自分自身では考えている。

★「2:8の法則」
インターネット上では今「2:8の法則」という事が言われているが、これは2割の業者が8割のシェアを持つと言うことである。
そしてシェア3番手までがビジネスとして成り立ち、4番手以降は生き残れないと言われている。kasaya.comは現在傘の分野では先頭を走っていると考えているが、これからもトップランナーであるための努力は必要である。

★オンラインショップの特殊性と狙い目
インターネットの店舗では実店舗と違う現象がしばしば起こる。
一例を挙げるとインターネットの仲間の店で冬の時期にアロハシャツの売上げが大きく伸びました。これは実際の店舗ではあまりないことです。
というのも、実店舗では季節に合わせた商品構成としますので、アロハシャツを置くことはほとんどありません。
しかし、冬にアロハシャツを必要としている人たちは実際には多くいるわけです。
その人たちが「インターネットでショッピング」しているわけです。
また私の店では「kasaya.com」とプリントしているオリジナル傘が売れています。つまり一品モノであったり、需要はあるが店にあまりないもの等がインターネットショップの狙い目ということになります。

★店主の顔が判る店づくりと「入手の困難な商品」や「うんちく」の品揃え
ショップ運営に際して心がけている点はお客様のショッピングリスクを軽減すること
です。
米国のオンラインショップでは「利便性」「検索機能」「入手の困難な商品」「うんちく」「価格」「個性」等に特色を出しているところが成功していると言われています。
日本でも成功していると言われているところは「入手の困難な商品」や「うんちく」を全面に出しているところが多い。「うんちく」などは顧客満足を高めるためには有効な手段です。
当店でも皇室御用達の前原商店について「どのようなこだわりがあるのか」を公開しております。
またネットショップゆえの不便さなど微塵も感じさせないページを心がけており、店主の顔が判るような内容にしております。つまり、どんな人間が運営しているのか知ってもらうことがお客様の信用につながると考えています。
この点では現状のオンラインショップは大企業より個人商店の方が有利であると言えます。
「入手の困難な商品」や「名物」を売るのは店の個性を出すのに有効であり、またそれらを購入するマニアックな層の人たちに対して商売するには、商圏が限られる実店舗より、オンラインショップが適しているとも言えます。
またこれらマニアックな方は購入する際の金額を気にしませんので、粗利の高い商売でもあります。

★「商売は信用から」
オンラインショップを行う上でホームページ上で「戦略会議室」というコーナーを設け、成功談、失敗談を公開しています。
これは「オンラインショッピングという新しい商売に対して利用されるお客様の信頼を得るには、全てのオンラインショップが信頼できるものでなければならない」という気持ちから
であります。
「商売は信用から」これはオンラインショップでも、実店舗でも同じ事です。

★もう一つの「2:8の法則」、メールの重要性
これと同じ事になりますが、商売を行う上でもう一つの「2:8の法則」があると考えています。
これは自分の作業のうちページ作成が2で、メールが8という重きの置き方であります。
もちろんページを軽んじているわけではありません。
しっかりしたページづくりをしないとお客様は通り過ぎてしまいます。
お客様に「買ってみよう」と思わせる「うんちく」「品揃え」をページで「見せる」こと、そして店主の「顔」を「見せる」ことが最低限必要であります。
しかし、お客様の信頼を得るには注文に対してメールで丁寧に応対することが営業活動で大切であるということであります。
お客様にとっては注文後のメールレスポンスでその商売の本気度が判ります。
私はメールを出すのが、一番の営業活動であると考えています。
それはお客様に対しても、またkasaya.comをPRするためにも行ってきました。
kasaya.comの立ち上げ時、まだ無名の頃には新聞社や出版社などに対して頻繁にメールを送っていました。と言うのも、まだまだ、現時点では「紙」媒体に載るのが認知されるためには重要であると考えていたためです。
そして何回か記事に取り上げてもらうと、それらを見た記者からまた取材を受けることになり、急速に「紙」媒体によってkasaya.comをPRすることができたように思います。


■Q&A

Q/電子決済についてどのようにお考えか?

A/電子決済については、現時点では重要とは考えていません。
kasaya.comでも、アコムの「アコシス」、ソニーのSo-net上での「Smash」という2つの電子決済手段を取り入れていますが、郵便振替やコンビニ支払い代行など多様な決済手段を
提供しています。まだお客様の望まれる決済手段を選択できることが大切であると考えているからです。
しかし、今後は電子決済が伸びるとは考えています。

Q/オンラインショップの通信コストは?

A/オンラインショッピングで実際に通信やサーバー維持にかかるコストは、米国のサーバー費用が月額8000円、オフィスに引き入れるOCNの回線は2名でシェアしているので、月額19000円程度。

Q/PRをいかに行われているのか?

A/kasaya.comのPRするためには、まず各顧客への誠実な対応が一番であると考えて
います。
ネット上での人の噂は非常に早いため、しっかりした対応で評判を確立することが大
切です。
その他には様々なメールニュースに対してkasaya.comの話題を提供したり、懸賞を紹介するホームページ「トクトクページ」に話題を提供しました。
ホームページでよく見かけるバナー広告は費用対効果の点ではあまり有効ではありません。
また、多様なキーワードを設定してyahooなどの検索エンジンにkasaya.com内の多くのページを登録しております。



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